10月の証~安部哲さんのご紹介~

 今回は安部哲(あべさとし)さんという一人のクリスチャンをご紹介します。

 安部さんは1913(大正2)福岡県古賀市で代々浄土宗の家に生まれます。若いときに浄土宗の修業を重ね、在家の僧の資格も取ります。

 ひよこのオスメスを鑑別する鑑別師として、3度世界一になる腕前の持ち主でした。ヨーロッパでの拠点をノルウェーに置き、日本と往復しておられました。安部さんはノルウェーで出会った宣教師から聖書を3年学びましたが、「イエス・キリストを信じるだけで救われる」という事がどうしても信じられませんでした。

 しかし1965年のある晩、地獄に突き落とされる幻を見て、無我夢中で叫びました。でも長年口ずさんできた「南無阿弥陀仏」という経文は出てこず、「イエス様、助けてください、助けてください」と叫んだのです。その途端に光の中に入れられました。こうして救いはただイエス様にのみにあることを体験し、直ちに信仰を持ちました。そしてすぐにこのイエス様のことを世界各地に伝える人生へと変えられました。

 1960年代当時、宣教師が入国できなかった共産圏諸国にも、鑑別師としての安部さんの突出した技術を求められ、国賓並みの待遇で税関も無審査で入国できました。そこで安部さんは聖書をひそかに持ち込んでは配布し、共産圏伝道の草分けの一人となりました。

 1970年代から80年代は日本の高度経済成長に伴い、海外に移住する日本人が増えました。それを知った安部さんは、ヨーロッパ各地にいる日本人を訪ね、イエス様のことを伝え、その中から救われる日本人が出てきました。

 数々のエピソードをお持ちの安部さんですが、ご本人は「皆はわしのことをユニークだとかいうが、わしほど普通の人間はおらんたい。わしは自分にできることをしとるだけじゃ。それも、神様がさせてくださるからできるんじゃ。伝道は自分の力でするもんでなか。全地を支配している全能の神に、より頼んでするとです」と言われています。

 イエス様が十字架によって自分の罪を贖い、地獄に行くはずだった自分を天国行きに変えて下さった。そのイエス様の愛に何とか応えたい、その心がすべての原動力でした。

 

「神の全能の力の働きによって、私たち信じる者に働く神のすぐれた力がどのように偉大なものであるかを、あなたがたが知ることができますように。」エペソ人への手紙119

 

 来たる1025()のオイコスチャーチ記念礼拝では、この安部哲さんの生涯からフリーライターの野口和子さんがメッセージをしてくださいます。ぜひお越しください!

 

参考:野口和子著「この愛に捉えられて―信徒伝道者・安部哲と霊満クルセード―」より