「聖書と映画 ~戦場のアリア~ 」
今回は仏独英合作の「戦場のアリア」を紹介します。第一次世界大戦時、フランス北部での出来事です。フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍が睨み合い激しい戦闘が繰り広げられていました。そんな中、クリスマスの夜を迎えます。戦場で供された僅かに豪華な食事とお酒を前にし、兵士たちの気が少し緩んだのでしょうか。笑い声や故郷を懐かしむ音楽が戦場に流れ始めます。それに応ずるかのように、ドイツ軍からは有名なオペラ歌手が突然立ち上がり、上官の制止を振り切って、「聖しこの夜」を朗々と歌いつつ相手の軍に歩いて近づきます。戦場に響き渡るこの美しい歌声によって、急遽、クリスマスの一夜だけの休戦協定が結ばれることになります。言葉が通じない中でも敵味方あい乱れて酒を酌み交わし、お互いの家族や婚約者の写真を見せあい、敵も安否を気遣う家族を持ち温かみを持つ同じ人間であることを悟ることになります。やがて教会の鐘がうち鳴らされ、従軍牧師による三軍合同のミサ・礼拝がもたれます。この出来事を契機として彼らはもはや殺し合いをすることが出来なくなります。それどころか、激しい砲撃が始まる前にはその情報を前もって伝え合い、お互いの陣地に誘導避難し助けあうようになりました。なぜなら、彼らはもはやミサ・礼拝を共にした神の家族となってしまったからです。しかし、この事実が上層部に伝えられ、彼らは罰を受け悲しい結末を迎えます。
「恵みとまこととは、互いに出会い、義と平和とは、互いに口づけしています。(詩 85:10)」この御言葉は我々が平和を想う時に深い意味を持つものと考えます。ちなみに神様との正しい関係を意味する義という文字は、イエス・キリストなる小羊の下に我という文字が存在する構造となっています。私は思います。声高に平和を叫ぶだけでは平和は訪れてこないのではないか。むしろ、一人ひとりが天地万物を造られた神様との正しい関係(神の義)を築き上げ、共に礼拝を捧げる時にこそ、自ずと平和が訪れるのではないかと思えるのです。