聖書と映画~ナルニア国物語 ライオンと魔女~

「聖書と映画 ~ナルニア国物語 ライオンと魔女~ 

 60年ほど前にCSルイスによって書かれた世界的ファンタジー「ナルニア国物語 ライオンと魔女」が上映されました。作者CSルイスは、ケンブリッジ大学の英文学教授であり、聖書学者としても当時有名な人物でした。

 時は第二次世界大戦の最中、ロンドンの大空襲を避けて、4人の兄弟姉妹が田舎の大きなお屋敷に疎開してきます。その家の衣装タンスはナルニア国につながる入り口でした。この国は100年の冬に閉ざされた不思議と魔法の支配する国でした。偶然衣装ダンスを通って迷い込んだ4人の冒険がはじまっていくのです。こう書くと、荒唐無稽なお話のようですが、中々奥が深いのです。次男坊は、ナルニア国を恐怖で支配している白い魔女と出会いますが、魔法のかかったお菓子のとりこになり、自分の兄弟姉妹を命の危険に遭わせます。しかし、ナルニア国の創造主ライオン・アスランと出会うことによって、彼は心から悔い改めるのです。しかも、裏切り者である自分を救う為に死んでくれたアスランの自己犠牲の愛に直面し、彼は命がけで正義の為に闘うことを決意します。聖書は言います。「人がその友のためにいのちを捨てるという、これよりも大きな愛はだれも持っていません。(ヨハネ15:13)」

 CSルイスはこの物語の中で、我々の罪の身代わりに死んでくださったイエス・キリストの十字架の愛と犠牲を分かりやすく効果的に伝えることに成功しています。何故ライオン・アスランがイエス・キリストを象徴しているのでしょうか?イエス様はユダヤ12部族の中のユダ族の出身でした。ですから、創世記の次の御言葉と無縁ではないように思われます。「ユダは獅子の子。わが子よ。あなたは獲物によって成長する。(創世記49:9)」

 さて、この物語は不思議なことに、読み進めている読者の心のあり方まで変えてしまいます。それは、アスランの語る言葉が聖書の原則そのものだからです。だからこそ、人の心を変え、その人の人生を方向転換させる大きな力があるのです。ファンタジーと言うと子供向きか・・・と思われるかもしれませんが、大人でも十分楽しめる物語であるということを最後に申し添えさせていただきます。